大工の棟梁としての30年のキャリアを材木屋で実らせます。
私は26歳で建築請負業として独立し、「水谷建設」の屋号のもと大工の棟梁として30年余、家づくりに携わってまいりました。個人事業主としての経営ではありましたが、絶えず引き合いをいただき、常時4人、繁忙期には8人の職人を抱えた時期もあり、戸建ての新築やリフォームの請負を中心に忙しい日々を送ってきました。親方として采配を振るう立場から建具屋さんや塗装屋さん、設備屋さんらとのネットワークも自然とでき上がり、そうした実績を買われてか、地元の同業の工務店から役員として招かれるケースも出てまいりました。頼まれごとは人材の育成や事業承継のお手伝いです。当社との関係、特に岩崎社長との出会いは、そうした中から生じました。2022年の夏、お手伝いをしていた会社を退任したことをきっかけに岩崎社長からラブコールを受け、当社に招き入れていただきました。
「手のかかる面倒なこと」など工務店さんの課題解決に貢献します。
現在の家づくりは、工場において設計図通りに加工した材木を現場で組み上げるプレカット工法が主流になっています。1990年代に一気に普及した工法で、加工精度の向上に伴い現場作業の効率化が図られ、特に建て方工事工程では経験の浅い職人でも対応できるようになりました。特にハウスメーカーの系の戸建て住宅では「手加工」と呼ばれる現場での加工作業が不要となり、ノコギリを手にする機会はほぼ無くなっています。その結果、昔ながらの木材加工技術を有する大工の需要が減り、腕の良い大工の活躍の場は、造作や内装仕上げ等、丁寧で細かい作業を必要とする領域や、フルオーダーメイドの住宅建築などに絞られてきているのが現状です。私はこうした時代の変化を身をもって経験してきましたので、工務店さんが抱える課題をよく知る一人であり、その解決方法には一日の長ありと自負しています。
グループ企業となった「河本工務店」のお手伝いも自分の役目です。
岩崎木材はその名の通り「木材」を販売する会社ですので、家づくりを生業としてきた自分は一見お門違いなのですが、お取引先さまの工務店さんでは対応できない細かい作業をアウトソースいただくケースも少なくありません。そうした需要をお請けするため新しく営業2課が作られ、早速そこからの引き合いもいただいています。また2023年からは紅葉で有名な香嵐渓近くの「河本材木店」と資本提携を結んだことから、こちらの業務も支援しています。河本材木店は製材業も営んでおり、切り出した無垢の木材を使った注文住宅事業も展開しています。これまでにお納めした家の営繕や修繕では「手加工」が必要になり、ここでも私の出番が生じています。「岩崎木材は進化系材木店」と称していますが、倉庫番には「木を深く知る匠」が存在し、材木商としての原形を色濃く残しながらも、その川上と川下領域を広く網羅していくという道筋は、確かに「進化系」に違いありません。56歳にしての転職ですが、ここでもう人肌脱いでみようと、心に誓っています。